「亡くなった父名義の土地、建物の名義を変えず、
10年以上が経過してしまいました。今からでも相続登記が行えるのでしょうか?
相続登記をしていなかった期間が長いので、罰金等があるのではないかと不安です。」
相続登記を長年に渡り、放置していた相続人の方からは上記のような相談を受けることがあります。
結論から言えば、「相続登記に期限はありません」そのため、いつまでに相続登記をしなければならないということはありません。
もちろん、相続登記をしていなかったからといって罰金等が発生することもありません。
では、期限がないのだから、気が向いたときに相続登記をすればよいかというと、そういうわけにもいかないのです。
確かに相続登記には、期限がないので、いつ登記を行っても構いません。
しかし、相続登記をせずに、長期間放置していると、次のような問題が発生してしまうのです。
1.相続関係の複雑化
相続登記を長期間放置している間に、当初の相続人が亡くなり、さらに別の相続が発生することにより、相続人が増え、相続人の数が何十人にもなってしまうことがあります。
こうなってしまうと、相続関係が複雑になり、相続登記手続きも大変難しくなります。
2.相続人の行方がわからなくなる
相続登記を放置していると、時間と共に相続人の行方がわからなくなることがあります。
このような場合、役所で取得できる戸籍の附票で住所を調査する方法があります。
しかし、戸籍の附票でも住所が明らかにならない場合や住所がわかっても連絡がつかない場合があります。
そのような場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任、失踪宣告の申立て等を行う必要があり手続きには、数ヶ月以上を要することになります。
3.相続人の判断能力の低下
相続登記を長期間放置した場合、相続人が高齢となることがあります。
相続人が高齢化し、認知症等により判断能力が低下してしまうと、遺産分割協議をすることができません。このような場合、家庭裁判所に成年後見人等を選任してもらう必要があります。
成年後見人等を選任する手続きには、時間も費用もかかり、相続手続きがさらに複雑になります。
以上にあげたことが主な相続登記を放置した際の問題となります。放置すればするほど、問題が発生する可能性が高くなります。
このように相続登記を放置することには、デメリットしかなく、メリットは何もありません。相続登記を放置することは、相続人の子の世代、孫の世代に問題を押し付けることになってしまいます。
相続登記が必要な場合には、後回しにはせず、すぐに行うことが、最良の判断に他なりません。