権利証という言葉は聞いたことがある人は多いと思います。実物を見たことがあれば、綺麗に綴じられた冊子を想像する人もいるかもしれません。
今回は権利証の中身と用途について紹介したいと思います。
「登記識別情報通知」という名前の書類が、権利証の代表格です。
この書類の下部には折り込み形式で、12桁のパスワードが記録されており、このパスワードが権利証の核心部分になります。パスワードは紛失した場合でも再発行はされません。
逆に書類自体がなくてもパスワードさえ分かれば権利証として機能します。
そのためお客様にはこの折り込み部分は必要があるとき以外は開封しないことをお願いしています。
なお、現行の折り込み形式になったのは平成27年頃です。それ以前はシール形式でしたが、熱や経年劣化に伴いシールが剝がれにくくなることがあったため、今の形式に変更になりました。
権利証として有効であることには変わりありません。
さらに平成17年以前は「登記済証」という書類が権利証でした。
これはパスワードではなく、書類自体が権利証として機能するものです。登記を申請した際の書類に、登記官が「登記済」印を押したものがそのまま権利証となります。こちらのほうが一般的な権利証のイメージに近いかもしれません。現在も権利証として有効ですので、まだまだ見かけることの多い書類です。
不動産の所有権を取得する際の登記申請完了時に法務局から発行されます。
一般的には不動産の購入時や相続登記の完了後に、依頼した司法書士から渡されることになります。
登記申請をした人にのみ発行されるので、自身の関与しないところで所有権を取得する登記がなされた場合には発行されません。
相続人の代表者が相続登記を申請する場合などは注意が必要です。
不動産を売ったり、担保に入れる際の登記申請に必要になります。
権利証のイメージ通り、不動産の権利を持った人でなければできない行為が対象になります。
住所変更や、抵当権の抹消など、所有者が不利益を受けない登記では必要ありません。
相続登記の際も原則的には不要ですが、住民票や戸籍など、公的な書類が添付できない場合に必要になることがあります。
権利証が必要かどうかは司法書士にご確認ください。
引っ越しや災害などで権利証を紛失してしまうことはどうしてもあります。
その場合に代わりになる制度は事前通知と資格者による本人確認情報があります。
制度の趣旨はともになりすましの防止にありますので、所有者のご協力が必要になる手続きです。
不動産の処分を伴わない場合は、悪用の防止のため、登記識別情報の失効の申出が可能です。
権利証は、非常に重要な書類です。
どの書類が有効な権利証かを見分けるのは、専門性がいるますので、ご自身で判断せず、お近くのお近くの司法書士に相談されることをお勧めいたします。